最初に引用記事のタイトルの「尖閣に行政標識設置」だけ見て、「やったね」とか思ったのね。そして記事を読んだらがっかり。「行政標識設置もダメ」という内容だったのよ。まったく、日本政府は尖閣をどうしたいんだろう。「日本固有の領土」と言いながら、石垣市の行政標識の設置すらできない。引用は産経新聞(2021/03/15)ね。

加藤勝信官房長官は15日の記者会見で、沖縄県石垣市が尖閣諸島(同市)に字名「登野城尖閣」を示す行政標識を設置する動きをみせていることについて「政府としては尖閣諸島および周辺海域の安定的な維持、管理という目的のため、原則として政府関係者を除き何人も尖閣諸島への上陸は認めないとの方針をとっている」と述べた。

加藤氏はまた、石垣市が標識設置のため上陸申請した場合の対応について「必要性や尖閣諸島をめぐる状況を総合的に勘案して判断する」と述べた。一方、政府高官は上陸申請を不可とする見通しを示した。

石垣市では昨年6月に市議会が市の行政区域に含まれる尖閣諸島の住所地の字名を「登野城」から「登野城尖閣」に変更するよう求める議案を賛成多数で可決。市は同年10月に字名を変更し、行政標識の設置を検討している。

そろそろ、尖閣諸島問題もはっきりさせるべき時が来ているような気がするんだけどね。東シナ海問題や南シナ海問題、それに中国の人権問題などなどで、自由日本である限り、態度を明確にしなければならないと思うけど。

確かに、現在の日中関係では、経済的な結びつきが強いことは確かで、経済界を中心として、中国にすり寄りたい勢力はまだまだ多いとは思うけどね。でもね、対中関係では、中国が改革開放政策を進め、国際社会がそれを支援することで、中国が国際社会で、友好的で有為な国になるとの期待が強かったのよね。でもね、現実はどうか。

国内での、特に漢民族以外への人権蹂躙、AIIBや一帯一路政策による周辺国への経済侵略、軍事力を背景にした、南シナ海、東シナ海、などの力による現状変更、香港や台湾の民主主義勢力の弾圧、などなど、国際社会の期待はことごとく裏切られ、現在は国際的なモンスターになってしまったのよね。当然、日本の経済界も、日本の主権の範囲内で、その対応を変更しなければならないのは当然だよ。

日本の場合は、尖閣諸島問題を抱えているんだけどね、中国の露骨な軍事圧力の中で、南シナ海問題とともに、東シナ海問題も、日米英仏豪の共通の問題となりつつあるよね。すでに英仏も、自国の空母を派遣するまでになったよね。そんな中で、行政標識の設置すらできない日本は、いかにもへっぴり腰に見えるよ。中国もそれを見透かしているんだろうね。

ここで以前も書いているんだけどね、たしか、尖閣諸島の大正島と久場島は、米軍の射爆場になっているはずだよね。両島とも、1978年6月まで使用されていたようなんだけど、アメリカやその承認の下に、日米英仏豪印が、南シナ海や東シナ海での「力による現状変更」に対して、合同訓練を行うとしても、問題は何もないよな。問題があるとすれば、アメリカバイデン政権と日本の対中国の戦略的覚悟がどうなのかということなんだろうと思うけどね。

日本は、無用の武力衝突を起こす必要はないけどね、中国の海上民兵が、いつ上陸してもおかしくない状況を考えれば、それを抑止する意味でも、行政標識はもちろん、漁船の避難所、などを早急に設置することを考えなければならないだろうし、それにより、なんらかの武力衝突が起きることを恐れてはならないだろう。また日米英仏豪印の尖閣海域での合同訓練は、そのような武力衝突の大きな抑止力になると思うんだけどね。