コロナ感染拡大の中で、時短営業要請が出ている中での、新宿の飲み屋さんの切実な思いの記事が出ているのでアップするよ。記事は「弁護士ドットコム」のもので、一定のバイアスがかかっている感じがするんだけど、それでも当事者の飲み屋さんの「閉めるも地獄、開けるも地獄」の声は切実だよ。引用は弁護士ドットコム(2011/01/15)ね。

新型コロナウイルス対策のための、緊急事態宣言の対象地域では、2月7日まで、飲食店などへの「午後8時までの時短営業要請(酒の提供は午後7時まで)」が行なわれる。
人通りが大幅に減ることもあり、要請に従う店舗も多いが、都内のある居酒屋は1日6万円の協力金ではとても足りないと話す。
「閉めるも地獄、開けるも地獄、そんななか、覚悟を決めて店を開けているんです」
時短要請を拒否し、深夜まで営業している新宿の居酒屋の店長が、匿名で取材に応じた。

東京・新宿で居酒屋を経営する男性店長(47)は、昨年11月から今でも時短要請に応じず、協力金を受け取っていない。ランチタイムから夜の0時まで、通しで店を開いている。
昨年4月に宣言が出され、店は4~5月、休業要請に応じた。
宣言が解除されて、6月から店を再開。それ以降、都度、出される時短要請に従ってきた。しかし、11月に応じることをやめた。以下、その理由を店長に語ってもらおう。

夜の8時まで、10時まで。その時間設定の根拠がわかりませんでした。10時を過ぎて酒を飲むと、感染率が10倍にでもなるんでしょうか。人を出歩かせないための単なる抑止力ですよね。
時短させるけど、GoToキャンペーンで経済は動かしたいし、感染は怖いから収束させたいし…。そんなフラフラと落ち着かない政策に納得できなくなったんです。
店は、5人ほどの正社員と、20人ほどのアルバイトで回しています。
アルバイトにも、厚生年金、有給休暇など、正社員と同様の待遇にしています。雇用調整助成金、持続化給付金などの申請をして、解雇せず、やってきました。

コロナ禍で、2020年の売り上げは、前年とくらべて6割減の月もありました。店の固定費(家賃や人件費など)には、多くて月に900万円かかります。月に180万円の協力金をもらっても、カバーしきれません。
うちは、1~2人での利用客が多いので、団体利用を見込む居酒屋であれば、もっと厳しい数字になっていたでしょう。多店舗展開しているところは、借金して、破産してもおかしくないと思います。
たとえば、カウンター6席くらいの店をひとりでやっているなら、協力金6万円をもらったら儲かりますよ。1日に2~3万円の売上を出せばいい。いろいろ引いて、利益は1万円くらいでしょうか。6万もらえば、毎日大儲けです。そんな店もあるでしょう。

コロナを本気で止めたいのであれば、国がやるべきことは、休業させて、移動もやめさせて、かわりに休業中の補償を完全に出すことです。1カ月ではダメかもしれない。もしかしたら2カ月かかるかも。でも、徹底的にやるべきです。
飲食店をターゲットにして、6万円出すから、営業は夜8時までにしてって、中途半端なことばかりして、コロナが収束するわけがない。
飲み屋が、お酒を7時までしか出せないなら、商売にならないんです。それはもう休業しているのと同じです。
本気の政策だったら、こっちは従いますよ。中途半端な対策ばかりやられたら、いつまでたっても商売できない。
税金は、私たちが汗と血を流して、国に与えたお金です。権力者は、僕らが不安にならないように、納得できるかたちで使ってほしい。

時短に従わないとして、店名を公表されることは怖くありません。もちろん、お上の言うことに従わない葛藤もありますよ。まともに商売をしてきましたからね。
店を開けたら、人が出歩く。そういう意見があることもわかっています。従わないのは、非国民だと思いますよ。葛藤がないわけないじゃないですか。
ただ、まだ今は時短要請は、「禁止」じゃなくて、「要請」ですから、経営者判断でいい。時短しなくたって、法律違反ではないと考えている。協力するかしないか判断すればいいと思う。
その判断を、国が国民の良心に頼るのがよくない。

日本の総理大臣は、日本国民の生命と財産を預かる立場だと思いますが、店のトップや会社のトップだって、自分とこの従業員の生命と財産を守る義務があるんですよ。
国のトップが間違っていると思ったら、従う必要がないと思うわけです。
罰則ないままに店名を公表してどうするの? 従わない店を公表したから、あとは、国民がその店に火をつけるなり、壁を壊すなりしてくださいってことですか? 国民を扇動したいんでしょうか。

50万円の罰金(行政罰)も検討しているんですよね。罰則って、脅しですか?
日本国政府が、脅迫をするんですね。「あ、そう。どうぞ。やってください」ですよ。
従業員だけじゃなく、酒屋さんやいろんな取引先だって助けなければいけない。昨日だって、業者が飲みに来てくれた。みんなつながってるんだから、営業するしかないよ。

先週の金曜(宣言が出された1月8日)には満席になりました。みんな、常連客たちは応援の意味で来てくれました。
ずっと家にいるのが不安で来る人もいる。店を開いたからっていっても、必要な人しか来ていない。必要としてくれる人がいる。
私のバーテンダーの師匠からは「酒場やバーは、親兄弟にも友達にも相談できない切羽詰まった不安があるときに飛び込むところだ」と教わりました。だから私は「客が死にそうなときにドアを開けておくのが酒場だ」と思って店をやっています。
店を開けていても、ただただ馬鹿騒ぎしたい人は来ない。お酒は癒し、処方箋だと思っている。

ここまで威勢のいいこと、ついつい言ってしまいましたけど、休業命令が出されて、法律に従う必要があれば、閉めますよ。
でも、協力金もらってしまったら、おかしいと思っても、おかしいと言えない。今なら言えます。

現在のようなコロナ禍の中の歓楽街で仕事をしている方々は、大変な思いをしているのは、この記事を見るまでもなく、想像に難くないよ。時短営業の要請を受けて、一日4~6万円の協力金を得ても、営業の継続は容易ではないだろうね。今後も、クラスターの発生などにより、地域的なロックダウン、あるいは食中毒の発生などと同様に、一時的な営業停止命令なども出る可能性もあるだろう。さらには、これからのウィズコロナ時代に、これまで通りの営業が行えるかどうかははなはだ疑問だよな。

メディアなどでは、時短営業や、営業停止命令などの場合、「補償金」とか「賠償金」とか言っているコメンテーターなどもいるようだけど、コロナの問題では、コロナの感染拡大の責任が国にあるわけでもなく、しいて言えば「補償金」とか「賠償金」を支払う責任があるのは、発生源の中国か、あるいはクラスターの発生などで感染を拡大させている施設や飲食店などとなるわけよね。特に、感染拡大についての責任は、ノンベー、スケベー、バカ騒ぎの施設や店舗ということになるのよ。

ノンベー、スケベー、バカ騒ぎが集まる歓楽街は、本来、主産業ではなく、一時的に現実から脱するためのもののはずだよね。しかし大都会では、それが生活の中心になっている方々が増えてきているのだろうね。そのような中で、大都会の歓楽街は拡大してきたんだろうね。でもね、それが根本的に間違っていたんだと思うのよ。私はね、ノンベー、スケベー、バカ騒ぎを否定するものではないんだけどね。それがメインになってはだめだと思うよ。

町は、その時の時代状況で刻々と変わるもので、特にメインとはなりにくい吉原のように、歓楽街は比較的短時間で変わるように思うのね。私の住む仙台の歓楽街の国分町は、江戸時代には宿場町だったのよ。それが明治維新になり、近くに第二師団が入ると、軍の要請もあり遊郭街に変わり、その後、日清戦争、日露戦争を経て、風紀の乱れが問題となり移転となり、戦後の公娼制度が廃止されると、旅館街にかわり、現在は当たり前の住宅地になってる。

聞くところによると、新宿歌舞伎町なんか、最近は不動産会社なんかが盛んに動いているらしいんだけど、少なくとも10年先、20年先には、まったく違った街になるのかもね。それが良くも悪くも資本主義社会なんだと思うよ。

前にも書いているんだけど、ウィズコロナの時代への業態変更や、今後の資金のめどが立っていない場合は、少しでも余力のあるうちに、仕事をやめたほうがいいと思うけどね。従業員も同じだよ。業種の変更や、仕事が見つからないなら、贅沢さえ言わなければ失業保険や生活保護で食べてはいけると思うけどね。

今回のコロナ問題では、大都会の歓楽街が、いかに脆弱かということが明らかになったよね。また、それらの歓楽街が、夜中までどころか朝方まで営業しているとか、産業としては主客転倒した状態であることも見えたよね。このようなことは少し異常だと思うのよ。ノンベー、スケベー、バカ騒ぎの歓楽街が、世の中には必要だとも思っているんだけどね、今後は、ウィズコロナの時代に合わせて、業態変更や廃業、移転などを余儀なくされるとは思うんだけど、例えば、周辺部の過疎地にある温泉地などへの集団移転なんかもいいのではとか思っているんだけど。