私は、現在の国際情勢に立ち向かえる政治家は、安倍晋三氏しかいないと思っているのね。でもね、以前から言ってるように、アベノミクスについては批判的なのよ。アベノミクスが、安倍政権への信頼を土台にして、日本の経済にプラスに作用したことは紛れもない事実なんだけどね。でもね、本来それを長期的に根っこで支える「三本の矢」にあたる「成長戦略」が、グローバル経済に走りすぎているように感じていたのよ。その懸念の一つが、カジノの導入であり、私個人としては反対だったのよね。その一つはチャイナマネーの参入であり、もう一つは、カジノの持つ負の側面なのよ。それについての記事があったのでアップするね。引用は、ハーバー・ビジネス・オンライン(2020/01/20)ね。

カジノ業者が警告! 「日本にカジノは要らない」。客を外に出さないように作るカジノで、街が儲かるわけがない

2016年11月、アメリカ大統領就任を控えていた当時のドナルド・トランプ氏と安倍晋三総理は初会談を行った。
その直後、政府はカジノ実現に向けた動きを一気に加速させ、翌12月には「カジノ解禁法」(正式名称:特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律)を成立・施行してしまった。

その背景には、それまでクリントン勝利と踏んでいてトランプ側との接点がなかった安倍政権が、大統領当選を受けてなんとかパイプを繋ごうとし、頼った先がアメリカのカジノ大手、「ラスベガス・サンズ」のシェルドン・アデルソン会長だったからだと言われている。
しかし、ギャンブル依存症の問題がすでに深刻化している日本で、カジノは本当に必要なのか? 安倍政権は、トランプに媚びへつらうために日本国民を米国カジノ業者に売り渡したのではないか。

21日発売の『月刊日本 2020年2月号』では、第3特集として「カジノが国を滅ぼす」と題した特集を打ち、真正保守の立場から断固としたカジノ反対の主張をしている。今回はその中から、同誌編集部によるカジノ建築を手掛けてきた日本人建築デザイナー、村尾武洋氏への取材記事を紹介したい。

2019年12月26日、横浜市内で「カジノ・ニューヨークからの警告」と題する講演会が開かれた(主催「カジノを考える市民フォーラム」)。講師はニューヨーク在住の建築デザイナーの村尾武洋氏。
村尾氏は2004年から米国でカジノのデザインに携わり、これまで数十件もの仕事を手掛けてきたプロだ。カジノの内幕を知る人物は、なぜ「日本にカジノは要らない」と警告するのか。
「私は2004年からカジノのデザインを請け負ってきた。最初の仕事は4億円でニューヨークにあるカジノの内装デザインだった。その店がオープンしてから6週間後、事業主から『よくやった。モトはとった』と言われた。次は12億円の内装デザインで、オープン8週間後に同じことを言われた。こうしてカジノの内装を毎年2~3件ずつ請け負うようになり、カジノからカジノへ全米を回るようになった」

だが、だんだんとカジノの正体に気づいたという。
「カジノが儲かるということは、誰かが損をしているということだ。カジノの収益は誰かの負け金だ」
「忘れられない光景がある。ネバダ州リノにあるカジノタウンの近くで、紳士然とした男性が高級なオープンカーを手で押していた。彼は私に『5ドル貸してくれ』と頼んだ。話を聞くと、週末に新婚の妻とカジノに来て、全財産をスッたという。クレジットカード、普通預金や当座預金も使い果たした。家も抵当に入れた。妻には別れられ、結婚指輪も失った。手元に残ったのは腕時計と愛車だけで、ガソリン代もない。彼は普通の人だったのだと思うが、2~3日のカジノで全て失ってしまった」

カジノでは驚くような大金が動く。
「たとえば、バカラ。インディアンポーカーとほぼ同じゲームで、1勝負5秒で終わる。レートは色々だが、最高レートだと1勝負に1000万円を賭ける。負ければ5秒で1000万がなくなる。パチンコで1000万をなくそうとしたら何十日もかかるが、カジノでは数秒。1億も1時間あればなくなる」

しかも、カジノには破産するまで賭けさせる仕掛けがある。
「カジノには必ずクレジットルームがある。そこで客は職業や給与を示してカネを借りる。クレジットカードの上限一杯まで借りることもできれば、家を抵当に入れて借りることもできる。カジノは客が限界まで負けられるようにカネを貸し出すのだ」

さらに、カジノには客を逃がさない仕掛けもあるという。
「客はカジノにいればいるほどカネを使う。だから我々は客をカジノから出さないようにする。まず時間が分からないように時計は置かない。窓も作らない。屋内照明は夕方5~7時くらいの落ち着いた明るさに調整する。光の調子、音の反響具合、カーペットの厚さ、肘掛けの高さ、クッションの柔らかさ、すべて計算している。非常出口はあるが、出口も見えないように複雑に作る」
カジノの外側も客を逃がさないように作られている。
「まずカジノを中心に置いて、その周囲に関連施設を作る。駐車場からホテル、レストラン、コンサートホール、どこへ行くにもカジノを通るように設計している」カジノは構造そのものが〝罠〟なのだ。

そのカジノが何故いま日本で開かれようとしているのか。
「リーマンショック後、カジノ業界はベガスやマカオも含めて全体的に苦しい。その中で日本は数少ないフロンティアの一つだ。日本にカジノを作るのは、日本人のタンス預金を獲りたいからだ。日本のカジノは外国人が対象だと言われるが、実際のターゲットは日本人だ」

「アメリカでは2004年から都心にカジノを作り始めた。ニューオーリンズを皮切りに、ボルチモア、セントルイスと続いたが、都心にカジノを作る狙いは地元住民のカネを獲ることだ」
横浜市などカジノ誘致に名乗りを上げた自治体は、街の活性化などのメリットを挙げている。
「我々は客がカジノから出ないように、街に出ないように作っている。だから、カジノの恩恵が街に還元されるなんてことはありえない。あれば、我々の負けだ。シカゴやインディアナのカジノは周辺にガソリンスタンドが数軒あるだけ。客はカジノの中だけでギャンブル、宿泊、食事、買い物を済ませるから周りはスッカラカンだ」

実は、自治体が強調しているメリットはカジノ業界のプロパガンダなのだという。
「カジノ業界が自治体に進出する際は新聞、テレビ、ラジオ、インターネットを利用しながら、2年ほどかけて少しずつカジノ誘致の素晴らしさを広告する。税収増や雇用増の具体的数字を予想グラフにしてプレゼンも行う。そして市長や地元有志を抱き込み、住民の賛成が51%以上になれば勝ちだ。そうなれば、49%以下の反対派の住民が何を言おうがカジノはオープンできる。

実際にカジノで国や自治体は儲かるのか。政府の方針では、カジノ収益の分配率は国15%、自治体15%、事業者70%だというが。
「カジノは産業の一つとしてネイティブの居住地区に作られることが多いが、その場合、収益の配分は自治体70%、事業者30%くらい。日本では数字が逆転しているから驚いた」
予想通りに収益が上がらなかったらどうなるのか。今のところ、IRのカジノは1店舗、IR全体のうち3%の面積とされているが。
「蓋を開けて収益が上がらなかった場合はカジノの面積を5%、10%と拡大していく、それでも収益が上がらなければカジノを増やして競争原理を働かせるという方向に行くのではないか。しかしカジノが成功したら、それだけ損をする人が増える。カジノの成功は良いことではない」

ギャンブルで負ける以外に、どんなデメリットがあるのか。
「いちばん怖いのは売春。カジノでは『飲む・打つ・買う』がセットだ。ラスベガスやマカオで遊んでいる客を呼ぶのに、日本だけ『女性がいない』というわけにはいかない。裏でそういうシステムは必ずできる。言い方が悪いが、日本人女性は世界的に人気がある。横浜にカジノができれば、地元の女のコに声がかかるだろう」
女性だけでなく子供にも影響があるという。
「カジノの近くにはレストランやビュッフェ、ブティックなど家族が足を運ぶ場所を作る。カジノの隣に保育所すら作る。子供たちはカジノを目で見て耳で聞いて楽しみ、『いつか自分も遊びに行ける』と思う。こうして次世代の顧客を育てる。カジノはそこに存在するだけで身体の一部になる」

「『日本にカジノを作る必要はない』、ただただそれを伝えたかった。横浜はカジノがなくても人が来る。粋な街だ。このままで良い」。
カジノが国民を不幸にすることは火を見るよりも明らかだ。

引用:ハーバー・ビジネス・オンライン(2020/01/20)

やっぱりね。一般的に言われている、カジノをつくれば、世界中から富裕層が集まり、大金を落とし、町の活性化につながる、というのが、まやかしだということがよくわかるよな。

カジノに限らず、郊外型大型ショッピングセンターやディズニーランドなどの大型遊興施設ができると、その施設内ですべてをまかなえる様に、いろんなものが入ってるよね。ディズニーランドなんかは、一旦入れば外には出にくく、外からの持ち込みは原則禁止で、施設外でカネを落とすことなどはほとんどないよな。

カジノの場合は、他の遊興施設やホテルなどまで、カジノ内に設置されることは当然なんだろうね。それに先日アップした500ドットコムの場合は、カジノ内の従業員もまた中国から引き連れて、近辺に1万人規模の団地をつくることまで計画の中に入っていたようで、カジノ外の施設とすれば、カジノで客引きする売春婦の置屋や売春宿くらいかもしれないね。

まあそれでも、疲弊した地方の自治体では、地域振興のために原発を誘致し、原発のゴミでもいいと誘致した自治体もあり、確かに、短期的にはそれなりに地域振興に寄与してもいるよ。でもね長期的には、それなしには生きられない構造ができあがり、事故などがあれば、その自治体ごと吹っ飛んでしまうというのは、福島原発で経験したことだよな。

カジノの場合も、それによる地域振興は、原発と似ていると思うのね。それでも原発なら、まだ国内で解決できることだからましな方で、カジノの場合は、中国資本やアメリカ資本が参入することになるんだろうけど、その影響は半端じゃないと思うよ。

500ドットコムは、最大で3千億円の資金投入を言ってたらしいけど、ある専門家によれば、1兆円は必要だと言ってるんだけどね、その資金の一定金額は、日本国内の関係会社に貸し付けるような形で出資させるんだと思うよ。中国は損をするようなことは絶対にしないよな。中国の「一帯一路」構想では、スリランカのハンバントタ港が、借金のカタとして中国に99年間譲渡されたし、オーストラリアのダーウィン港も、中国に99年間の運営権を取得されてしまったしね。インド洋の島国モルディブなんかは、近年中にも中国への領土割譲が不可避になっているんだってよ。これらは、アヘン戦争後のイギリスのアジア植民地化の手口とそっくりなわけよね。今回のカジノがアヘン戦争のアヘンと同じようにならないか心配なのよ。

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アベノミクスでの成長戦略については、かねてから、なんだかなーと思っていたんだけどね。その理由は、グローバリズムの中での「自由主義貿易」なのね。日本の工業技術での「自由主義」は、世界と十分に戦えるものとは思っているんだけど、それと引き換えに農水産物から関税を外し、「自由主義」で戦えというのはあまりに第一次産業には酷な話だと思うよ。これまでアベノミクスでは、地方創生を語りながら、コメを高値で富裕層に向けて輸出するとか、ホタテカレーを輸出するとか、そんなんで、日本の一次産業が立ち行くわけがないと思うよ。
外需を拡大するよりも内需を拡大するのが先決であり、そのための方策として、第一次産業は関税で保護しながら、農業、漁業の法人化の促進、国土強靭化計画での自然災害に対する防災工事の拡大、防衛装備の国産化など、反グローバリズムの政策も取り入れるべきだと思っているよ。